分かりにくいハムスターのストレスサインを読み解く12の行動
2017/09/12
「寿命が1年延びる!ハムスターにストレスを与えない飼育方法」では、ハムスターにストレスを与えない飼育方法をご紹介しました。
ハムスターは動物の中でもストレスを受けやすく、体が小さいためストレスの影響を受けやすい動物です。
人間から見るとなんてことはないことでも、ハムスターからしてみれば重大で、それが続くと体調を壊してしまいます。
逃げるや鳴き声をあげるなどの分かりやすいストレスサインもありますが、多くのストレスサインは人から見ると分かりにくいものが多いです。
今回はハムスターが何に対してストレスを感じるのか、その症状についてをご紹介します。
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ストレスは生きるために必要な本能
ストレスは悪いものなのかというと、一概にはそうではないんです。
ストレスを感じると体は一時的に緊張し、筋力・集中力・聴覚が増し、体の機能をフルに使えるようになります。
普段なら気が付かないことに気が付き、瞬時に物事に対応できるようになるんですね。
この機能は敵に遭遇した時、危険を感じたときなど体の機能を瞬時に発揮して逃げる、戦うといった行動を素早く取れる、防衛本能の仕組みです。
防衛本能は敵が多い、体が小さい動物、力が弱い動物が働きやすい特徴があります。
つまりハムスターは人間よりストレスを感じやすく、影響も強く受けてしまうということです。
ペットのハムスターにストレスは不要
野生のハムスターにとって、ストレスは敵から身を守るために必要なことです。
しかし、強いストレスを受けたり、ストレスが長期化すると、健康に悪影響がでて、寿命を縮めてしまうことになります。
ペットとして飼われているハムスターには、ストレスはほとんど必要ないもので、極力減らしてあげることが必要になります。
ハムスターの本能として、縄張りを主張したり、見回りしたり、巣を作ったりする自分の身を守る行動は必要ですが、それ以外は安全を感じられる環境がもっとも長生きできます。
ストレスで表れる症状
ハムスターはストレスを感じ続けると、それに対応しようと体調を変化させます。
普段は体調にあわせた適切な血圧を維持していますが、ストレスを長期的に感じると、常に血圧をあげて攻撃体制に入ります。
常に緊張と興奮をしている状態で、これが体調不良の原因となり、さまざまなストレス症状を発症しはじめます。
人間でいうと、偏頭痛や夜眠れない、肩こりなどさまざまな症状が出ます。
ハムスターの場合はストレスを感じていても、人が気が付きにくい症状が多く、知らない間にストレスを悪化させている場合が多くあります。
人にもわかるほどのストレスが目に見えるほどになると、長い間強いストレスを受けていたことになります。
動物は自分が弱っていることを隠すので、気が付きにくいストレスサインをいち早くキャッチしてあげましょう。
飼い主を見ると逃げる
分かりやすいストレスサインとして、飼い主が近づいたら逃げるという行動です。
安全とは思っていない、危険だと思っているから逃げるという、じつに単純な理由です。
ケージの中に手を入れて、ハムスターが近寄ってこずに逃げるなら、飼い主が近づいただけで、その存在がストレスになっています。
ハムスターがダッシュすると血流が上がり、その小さな体には負担がかかります。
何度も続けていると体調不良を起こしてしまいます。
回し車をたくさん回す
ハムスターは回し車を回すのが当たり前と思われていますが、じつはこれは正しくはありません。
野生のハムスターは一晩のあいだに4~6キロもの長い距離を走り、ペットとして飼われているハムスターにも走る習性が残っています。
そのため、体を動かし、餌を探しに行くという「走る」行動を回し車でとりますが、毎日散歩させたり、ケージの広さが足りているなら、ハムスターはあまり回し車は回しません。
まったく回さないわけではないですが、お散歩をさせて衣装ケースの大きなサイズで飼っているうちのハムスターは、回し車は夜中少し回すくらいです。
運動量がしっかり足りていれば、それだけでハムスターは本能的に満足できます。
そのため、ハムスターが夜中に1時間以上回し車を回している場合は、運動量が足りていないストレスサインです。
運動量が足りていない原因は、ほとんどの場合飼育しているケージがハムスターの体格より小さすぎるためです。
ゴールデンハムスターのケースは、「縦35×横65×高さ30センチ」が目安。
ドワーフハムスターは、「縦30×横45×高さ25センチ」が目安になります。
参考
「これは便利!衣装ケースでのハムスターの飼い方。手作り方法から大きさまで」
物をかじる
「金網や給水器を噛んで、すぐ壊してしまい困っている」という飼い主の話をよく聞きます。
ハムスターは歯の調節のために物をかじる行動はとりますが、金網を噛み続けたり、かじり木を置いているのに他の物を噛んで壊すのはストレスサインです。
「噛む」という行動は、「口寂しい」という欲求に繋がります。
餌が足りていない、贅沢を覚えてしまい、「もっとおいしいエサが欲しい」という不満から、物をかじって転移行動をしていると捉えられます。
金網を噛んで、さらに登る場合は「外に出たい」という欲求を抱え、これもまたストレスになっています。
やはりケージ内に不満があり、とくにケージが狭いことがストレス原因だと考えられます。
エサをたくさん食べる
「エサが足りていない・エサの補充を忘れている・エサが腐っている」などがあるとき、ハムスターはエサを過剰に食べるという行動をとります。
十分にお腹が満足していないという転移行動であり、「いつエサが食べられるか分からない」という不安から、過剰にエサを食べてしまいます。
過剰に毛づくろい・砂浴びをする
動物はストレスを感じると、体を触り、毛の流れを整えるという行動をとります。
これは人間にも当てはまり、わたしたちもストレスを感じ緊張すると、無意識のうちに顔を触って落ち着こうとしたリ、髪の毛をいじるという行動をとります。
この行動が不安を和らげ、緊張をとこうとする動きです。
ハムスターの場合、ストレスを感じると毛づくろいをしてストレスを分散させようとします。
これが酷くなると、顔をかきむしったり、体に傷がついてしまったり、体の毛が抜けたり傷を負ったりします。
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鳴き声をあげる
食物連鎖でも地位が低いハムスターは、動物の中でも弱い生き物です。
弱い動物は声をだすと敵に位置が知られてしまうため、鳴き声を出してコミュニケーションをとることを極力避けます。
そのハムスターが鳴き声をあげるときは、敵に襲われるリスクを取りながらも、それ以上に何か訴えたいことがあるためです。
例えば、手をケージに入れるとハムスターがキーキーッと鳴く場合、これは突然伸びてきた手(敵)に対して威嚇をしています。
威嚇をすることは「攻撃する」ということではなく、「あなたと戦いたくありません。すぐにここから立ち去って!」と戦いを避けるため鳴き声をあげています。
こんな声をあげているとき、噛みつかれながらもハムスターを手に乗せたり触ったりすると、ハムスターは「攻撃された。威嚇も効かない相手だ」と思い、ますますストレスを感じ怖がってしまいます。
また、ストレスを感じすぎているハムスターは、威嚇すらできなくなり、鳴き声を発しなくなります。
ハムスターがなついてもいないのに、鳴き声をあげなくなったら、それは仲良くなれたのではなくさらに大きな負担がかかっているということです。
ゴールデンハムスターについては、もともと鳴き声をほぼ発しません。
ゴールデンハムスターは頭がよいため、鳴き声をあげても問題が解決されないと思っている場合は、威嚇という行動をとらない場面が多いです。
ちなみに、ハムスター同士がコミュニケーションをとる手段は、「臭い」を発して、自分の居場所を知らせたり、体調を知らせたりします。
噛みつく
飼い主に慣れていないハムスターは、手が自分に迫ってくると噛みつきます。
ハムスターが噛むことは初心者ならよくあることで、「大したことない」と思っている人も多いです。
しかしハムスター側からすると、自分の何倍も大きな相手に噛みつくわけですから、もう生きたここちはしません。
ハムスターは弱い動物なので、相手が自分より強いかどうかはすぐにわかります。
そのため、噛みつくという行動は、「敵を倒してやる」という反撃の意味ではなく、どうしようもなくなったうえで、「噛みつくしかない」と追い込まれての行動です。
手を出して噛みつかれるようなら、まだハムスターはあなたを敵とみなしており、ストレスを高く感じている状態です。
噛まれなくなるまで信頼を積み上げ、仲良くなるまでは触らないようにしましょう。
体の動きがぴたりと止まる
いそいそ床材を運んでいたハムスターが、自分がケージに近づくとぴたりと止まる。
これは、ハムスターが敵が近くにいることを察知し、敵から見つからないために動きを止める行動です。
ハムスターの毛は保護色になっていて、動きを止めることで自然の景色と同化し、見つからないためのカモフラージュをすることができます。
人間にはすぐに見つかってしまうのですが、ハムスターの習性として自分を守るために残っています。
また、相手を見つめてぴたりと止まることで、敵の動きを敏感にキャッチし、動きがあったら全力で逃げる体制をとることができます。
人間を見ると動作が止まる場合、分かりにくいですがハムスターは身の危険を感じ、ストレスを感じているということです。
この習性は人間にもありますが、人は状況や相手への理解力・判断力のスピードが速いため、一瞬動きをとめただけで処理してしまいます。
びっくりして粗相する
ハムスターが頬袋に一生懸命エサを詰め込んでいるとき、後ろから触ったりするとハムスターは驚いてしまいます。
人間も急に「わっ!」とされるとびっくりして心拍数が急上昇しますが、ハムスターのような小さな体で驚くと、その負担はとてつもなく大きいものになります。
驚きすぎて、おしっこやうんちを漏らしてしまうことがあります。
これは飼い主になついているハムスターでも驚くとあることなので、ハムスターに触る・声をかけるときは必ずハムスターが気が付いてから触りましょう。
びっくりするストレスは一時的なものですが、一時的なストレス度は高いです。
一度だけでも本気で驚いてしまうと、消化器官が不調になり下痢をしたりお腹を壊すということにつながります。
頬袋から食べ物を出す
ハムスターの特徴といえば、他の動物にはあまりみられない頬袋があることです。
ハムスターの生息地である乾燥地帯は食べ物に乏しく、長い距離を走らないとエサが見つかりません。
そのためエサを見つけたら頬袋に詰め込み、巣に持って帰ろうとする習性が強くあります。
その頬袋から、まだ巣に帰っていないのにエサを出してしまうことは、危険を感じているというサインです。
「巣にエサを持って帰りたいけれど、敵がいるから自分の身を守るほうが最優先だ」と思って、体を軽くしてなんとか生き延びて帰ろうということです。
一度頬袋につめたエサに執着するハムスターが、生きていく大事な食べ物を出すというのは強いストレスサインです。
エサを食べているとき飼い主がハムスターを触ったり、声をかけたりと不要なことをしているのが一番の原因です。
顔を毛づくろいする
ハムスターが顔を洗って毛づくろいしている姿をよく見かける、という場合は、ハムスターが日ごろからストレスを感じています。
顔を洗う理由は、
・体調のメンテナンスをすること
・臭いを確認して縄張りをつけること
・情報機関のメンテナンスをすること
の3つが目的です。
ハムスターは人間のように顔から汗がでないので、普通なら寝起きに少し顔を拭いて、毛づくろいをするだけで十分なのです。
そのため巣箱から出てきても何度か顔を洗うしぐさをしているなら、「敵がくるときに備えて、しっかりレーダーを磨いておかなければ」と危険を予測しているということです。
ここが安心できる場所ではないと思っているんですね。
砂浴びで体をこすりつける
ハムスターの砂浴び行動は、「自分以外の臭いを消す」ことが目的です。
体についてしまった臭いを砂浴びで消し去り、安全を取り戻そうとしています。
主に飼い主の臭いや、他の動物の臭いなどに反応しての行動です。
飼い主を信頼していない、どちらかというと敵だと認識しての行動で、飼い主が触ったり、飼い主の臭いがついている物に触った後に激しく砂浴びをします。
そのため、飼い主のことを信頼しているハムスターは、飼い主の臭いが体についていても、砂浴びを臭いをとろうとしません。
飼い主の臭いが自分についていたほうが安全で、身を守れると思っているのです。
砂浴びには他にも砂の感触を楽しむという「遊び」の感覚も一部ありますが、ほとんどが臭いを消したいという目的なので、ストレスの少ないハムスターは砂浴びをほとんどしません。
あちこちでトイレをする
ハムスターはキレイ好きな生き物で、教えなくてもトイレを一か所に決めてそこだけでトイレをします。
それも巣穴から一番遠い場所にトイレを選び、清潔さを好みます。
そのキレイ好きなハムスターが、トイレをあちこちで粗相して、トイレをどこにでもする場合はストレスを感じています。
おしっこをあちこちですることは、縄張りを主張しており、「ここは自分の縄張りなんだぞ!」と、敵を威嚇している行動です。
ケージの中を自分の巣穴、安全地帯だと思っておらず、敵から侵入されやすいと感じています。
毛がハゲる
ハムスターの毛が抜ける原因は
・細菌感染
・カビ
・高齢のためのホルモンバランスの異常
・アレルギー
などの原因があります。
ストレスが原因で毛が抜ける場合もあり、何が原因でハゲているのか突き止めなくてはなりません。
ストレスが原因の場合は、上記のような行動が他にも見られないかをチェックしましょう。
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