ハムスターの水浴びって必要?デメリットとその理由について
ハムスターに水浴びは必要?
自分にとっての一番のストレス解消法は「お風呂」。という方も多いのではないでしょうか?
特に日本人はお風呂や温泉が好きな人が多いですが、私たちと同じようにハムスターもきっと水浴びをして体を涼しく、キレイにしたいと思っているに違いないと感じる方もおられるかもしれません。
私たちも汗をかいて不快に感じるような猛暑日には、体毛で追われているハムスターがかわいそうに思えてしまうことでしょう。
では、ハムスターには本当に水浴びが必要なのでしょうか?
まず冒頭でこの質問に対する答えを明確にするなら、それは「ノー」です。
ハムスターにとっては水浴びはリフレッシュできる気持ちの良いものではなく、命にかかわる問題を引き起こすきかっけともなりかねません。
私たちとの共通点も多いハムスターですが、水浴びに関しては特にハムスターの特性をよく理解しそのデメリットをしっかりと把握しておく必要があります。
では、なぜハムスターにとって水浴びは必要ではないのでしょうか?
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ハムスターにとって水浴びが必要でない理由
その理由を考えるためには、野生でのハムスターの生育環境について知る必要があります。
ハムスターの種類にも因りますが、ハムスターの主な生息域はイスラエル、レバノン、シリアなどの西アジア~カザフスタン、モンゴル、中国の一部などの中央アジアです。
西アジア、中央アジアのおおまかなイメージをまとめると、寒暖の差が激しい、雨が少ない、草原~砂漠地帯が広がる。という感じになるでしょうか。
多くのハムスターが野生で生息しているのはそのような地域であり、私たちの住んでいる日本の環境とは大きく異なります。
また、基本的にハムスターは岩の割れ目や土の中に巣穴を掘って生活しており、外気温が上がったり下がったりしても巣穴の中は一定の温度が保たれています。
そして雨が降ってきたら巣穴に戻り、巣穴にためておいた植物の種などを食べるという生活スタイルです。
それで、野生の生息環境ではハムスターはほとんど雨に濡れることはありません。雨の少ない地域に住んでいることに加え、ハムスターは湿気にも弱いため巣穴に過度の水分を入れないために雨にはできるだけ濡れないように生活している動物なのです。
ハムスターに水浴びをさせるデメリットとは?
では、ハムスターにとって水浴びは具体的にどのようなデメリットがあるのでしょうか?
それは先ほど考えた野生の生息環境を考えると分かりやすくなります。
ハムスターは体温調節が苦手
小さな体のハムスターは体温調節をするのがとても苦手です。
体が小さい割にコロッとした体型のため、体の表面積が大きく体内の熱がすぐに逃げてしまいます。
そのため、ハムスターはふわふわした毛に覆われているわけですが、この体毛が濡れてしまうと余計に体温を奪いやすくなってしまうのです。
このハムスターのフワフワの体毛は寒い地域で生きていくために密度が高く生えており、その中に空気を多くためられる構造になっています。
そのため、ハムスターの体毛は一度水で濡れてしまうとなかなか乾きません。タオルなどで拭いたとしても体毛の根元の方は完全に乾くことはなく、結果的に体温を下げてしまいます。
私も子どもの頃に飼っていたハムスターのおしりが汚れていたため、体を少し洗ってあげたことがありました。
子ども心の親切心だったのですが、洗ってあげた後にそのハムスターはしばらく体の震えが止まらず、見るからに寒そうにしていました。
時期的には寒い季節ではありませんでしたが、ハムスターの体の構造上、体毛が濡れてしまうと少しの風が体に当たるだけでもかなり寒気を感じてしまうようです。
その後大事には至りませんでしたが、震えてしまっている姿はかなりかわいそうでしたし、しっかりとした知識のもとに動物を飼育する大切さを学びました。
未体験の水浴びはかなりのストレス
本来は乾燥した地域に生息しているハムスターは基本的に水を体に浴びることはありません。
体内に取り入れる水分についても、その多くは植物の種や葉などに含まれているわずかな水分だけでまかなわれており、水をガブガブ飲む必要も本来はありません。
そんなハムスターがいきなり水の中に入れられたり、水をたっぷり含んだタオルで体を拭かれたりしたならどう感じるでしょうか?
ハムスターの本能とはかけ離れたそのような行動は、きっとかなりのストレスとなってしまうことでしょう。
他の項目でもこれまで書いてきましたが、体の小さなハムスターは臆病な動物でありストレスに弱い動物です。
ハムスターがよくかかってしまう病気のひとつに「ウエットテイル」という病気がありますが、これは腸の機能が低下して消化不良や下痢を起こしてしまう病気です。
腸は第二の脳とも呼ばれることがあり、ストレスの影響を受けやすい器官でもあります。
私たちがテストや面接前に強いストレスや緊張を感じるとお腹が痛くなってしまうのと同じ感覚です。
まして、水浴びによって体温が低下し、免疫力が下がってしまうとストレスとの相乗効果でハムスター特有のウエットテイルにかかりやすくなってしまいます。
野生の生息環境でハムスターが本来は行っていない水浴びは大きなストレスを与え、病気にかかる原因ともなってしまうのです。
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ハムスターが水浴びの代わりにしていること
では、ハムスターは体が汚れた時にどのように対処しているのでしょうか?
ハムスターが快適に清潔に過ごすために飼い主が行えることがあるでしょうか?
砂浴び
ハムスターが水浴びの代わりに行っていることは「砂浴び」です。
砂漠や乾燥地帯に住んでいるハムスターは水に入って体をキレイにする代わりに砂に体をこすりつけて、体をキレイにしているのです。
ハムスターは砂浴びをすることによって、体に付いた寄生虫や体から出る余分な脂、体に付いた汚れを落としています。
グルーミング
ハムスターは自分の体をなめることによってグルーミングと呼ばれる毛繕いをいつも行っています。
このグルーミングによって、ハムスターは体毛に適度な油分を補充し、毛ツヤを整えています。そのようにして油分を加えることで体に付くダニや寄生虫を防いでもいるのです。
また、自分のにおいを体に付けるという意味もグルーミングには含まれており、その匂いが無くなってしまうとハムスターはストレスを感じてしまいます。
逆に水浴びはグルーミングによって補充された油分を落としてしまい、せっかく付けたハムスターの自分の匂いも落としてしまいます。
このような点を考えても水浴びはハムスターにとっては逆効果であり、必要ないことが分かります。
砂浴びをしないハムスターもいる
ハムスターが飼い主を信頼し、安全な飼育環境に満足していると、砂浴びをしなくなることがあります。
「砂浴びをして、体についている飼い主の匂いを落としたくない」とハムスターが思っているんです。
そんなに自分のことが好きなの?というより、ハムスターは賢い動物なので、自分が飼い主にかなわないことがわかっています。
尚且つ、「飼い主は自分のことを守ってくれる存在だ」ということも、しっかりお世話していればわかってくれます。
これをハムスターが理解したとき、飼い主の匂いをつけていたほうが安全に過ごせると思い、砂浴びは必要なくなるんですね。
まとめ
ハムスターは水浴びをしなくても自分の体を清潔に保つ習慣をもっており、そのための生活環境を整えてあげることが健康に過ごすための秘訣であることが分かります。
野生での生活環境に合わせて砂浴び場などストレスを軽減する飼育環境を整えましょう。
一方でハムスターは暑さに弱い動物でもあり、室温が25度を超えてくると健康を害しやすくなります。私たちとしてはお風呂に入ってスッキリしたいところですが、ハムスターのためには室温調整が一番大切です。
夏場の室温上昇には扇風機やエアコンがまず思い浮かびますが、ハムスターは風が直接体やゲージ内に当たることも嫌いますので、扇風機などの使用は控えましょう。
また、エアコンを使用する際にも風が直接当たらない場所にゲージを設置し、ハムスターにとってストレスとならないように注意することが大切です。
水浴び以外の方法で涼しく過ごせる方法を用意し、ハムスターが健康に過ごせるようにしてあげてください。
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