ハムスターの喧嘩は命がけ!その行動の意味と出血したときの対処法
2017/09/11
ハムスターを同じケージで飼っているなら、たまに喧嘩するのは当たり前。
そんなふうに思われていることがあります。
しかし、ハムスターの喧嘩はいつも命がけで、ちょっとじゃれあっているだけということはありません。
わたしも、まだハムスターの生態についてよく知らないとき、多頭飼いしていたハムスターが喧嘩して出血し、足を骨折したことがありました。
これは今でも後悔しており、とても悪いことをしたと、心の中に申し訳ない気持ちを感じています。
今回は、ハムスターの喧嘩とはどういうものなのか、喧嘩中のハムスターの行動心理やケガしたときの対処法などをご紹介します。
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喧嘩中のハムスターの行動
じゃれてるだけ?
喧嘩なのか、じゃれているだけなのか、区別がつかないときがあります。
しかし、基本的にハムスターにはじゃれあいという習性がなく、犬や猫のようにじゃれあって遊ぶということはありません。
目だったケガがないだけで、じゃれて見えるならそれは喧嘩です。
いつヒートアップして流血したりケガをするかが分からない状態です。
ハムスターは本気になったら親も子も、ずっと一緒に育った兄弟でさえも関係のない動物です。
びっくりして喧嘩する
敵意がないのに喧嘩する場合として、びっくりしたとき、驚いたときがあります。
エサをいそいそと食べていたのに、後ろを通りがかられてびっくりした。
こんなとき、びっくりしたハムスターは「キーッ」と奇声を発し、そのまま攻撃をしてくることがあります。
驚かせたほうのハムスターも、それにびっくりして戦闘態勢に入ります。
これは敵意のある喧嘩ではありませんが、一度喧嘩が始まってしまえば同じことです。
勢いに乗って、仲の良かったハムスターでも一撃で倒しあうまでの激しい争いになることがあります。
お腹を見せる
お腹を見せる行動は、犬が飼い主やリーダーに「敵意はないですよ。あなたに従います」という、服従のポーズとして有名です。
しかしハムスターにとっては逆の意味を持っており、お腹は敵意があり、戦闘態勢に入っているポーズです。
ハムスターの一番の武器は強力な前歯で、お腹を見せる体制になることで相手が上から襲い掛かってきたらがぶっと噛んでやるつもりです。
着地していたら使えない手足も、転がっていたら4本とも使えるので、反撃と防御もしやすくなります。
ハムスターの喧嘩で、一方がお腹を見せると、一方がそれを見て襲い掛かるのをやめることがありますが、これは相手が降参したからではありません。
「かかってこい!返り討ちにしてやる」という姿勢なので、お互い敵意むき出しで、これからも喧嘩は続くでしょう。
この動画がわかりやすいですが、一方のジャンガリアンが仰向けになり、相手の攻撃をかわしています。
口を大きく開けて、上に乗ってこようものなら、噛みついてやるといわんばかりです。
喧嘩はしなくてもストレスを感じている場合がある
うちではどんなに仲の良いゴールデン、ドワーフすべてのハムスターを1匹ずつ別のケージで飼育しています。
先日、多頭飼いをしているハムスターのお宅をのぞく機会がありました。
多頭飼いしやすいジャンガリアンだったのですが、見てみて驚きました。
確かにキーキー鳴いたり、歯で噛み合ったりという目に見える喧嘩こそしていないものの、1匹は肥満で、1匹はお腹にハゲている皮膚炎が見受けられました。
これは、お互いが闘争に強いタイプではなく、力が拮抗しあい喧嘩すらできない酷いストレス状態です。
お互いがお互いの存在に強いストレスを感じていても、何もすることができずに、ストレスを一身に感じて同じケージで暮らしているのです。
逆に言えば、気の合わないハムスターは喧嘩できたほうがいいのです。
どちらかが負けて、一方が勝ってケージの支配者となり巣を独占するのが、ハムスター本来の生き方です。
喧嘩することは生命維持のために必要な行動で、喧嘩をさせることができない環境というのは劣悪な環境です。
ハムスターが喧嘩をしていなくても、しっかりと体調を観察し、ストレスを抱えていないかをチェックすることが大事です。
多頭飼いにストレスを感じている場合
喧嘩をしなくても、お互いの存在がストレスに感じている場合、ハムスターの様子・体調には変化が見られます。
・肥満傾向にある
・エサを一方のハムスターがたくさん食べている。巣に持ち帰っている
・おしっこをトイレでしない
・砂浴びをしない
・下痢が多い
・ハゲがある。皮膚に炎症がある
・トイレの近くに巣を作っている
このような様子が見られたら、喧嘩していなくてもケージを分けて、別々に飼いましょう。
驚くほどのスピードで、体調不良が良くなるケースが多いです。
ペットショップのハムスターは喧嘩しないの?
ペットショップで売られているハムスターは、多頭飼いされていることが多いです。
種類関係なく、ときにゴールデンハムスターでさえ同じケージに入れられていることがあります。
しかし喧嘩している様子はあまり見られません。
この理由は、ペットショップで売られているハムスターはまだ赤ちゃんで、縄張り意識が芽生えていません。
もう1つの理由として、兄弟である、生まれたころから同じケージで飼われていると、匂いに安心して警戒心を持たないということがあります。
しかし、大人に成長するとゴールデンハムスターなどは兄弟でも激しい喧嘩をするので、同じケージで飼うことはできません。
このことを知らず、ペットショップで同じケージで飼われていたという延長戦で、お家でも同じケージで飼う人がいます。
これは大変危険で、ハムスターは常にストレスと危険を感じ、どちらかが倒れるまで喧嘩をしてしまうことになります。
多頭飼いするメリットはとくにない
ペットショップでべったりと重なるようにして、同じ巣箱で寝ているハムスターはかわいいです。
しかし、ハムスターは単体で生きる生き物であり、共同で何かをするという行動をしない動物です。
ハムスターは別々で生きることでどんどん生存地域を広げ、たくさんの子供を産むことで繁栄してきました。
そこに協力は不要であり、個々で生きられる力を身に着けることが、ハムスターにとっての生存本能であるといえます。
そのため、同じケージで飼うことはハムスターにとってストレスでしかありません。
とくにメリットはなく、人間から見てかわいい姿が見られるというだけです。
どんなに小さい頃から同じケージで育った兄弟でも、ふとした拍子に大喧嘩するということがあります。
特別な理由でもない限り、同じケージで飼うことはやめましょう。
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喧嘩でケガをしたときの緊急対処法
出血している場合
ハムスターはその鋭い大きな歯でかみつき、出血をさせることで相手を倒そうとします。
人間には少量の出血に見えても、ハムスターの血液量は78ml/kgと、体の大きさから考えると、少しの出血でも危険です。
夜以外ならばすぐに病院へ連れていき、血を止めることが何よりも先決です。
夜で病院が閉まっている場合は、わたしはあらかじめ貰っていた傷用の塗り薬と消毒液をつけて、緊急的に治療します。
薬を綿棒に塗って患部に当てがい、これで軽い出血くらいなら止まります。
このとき、ハムスターが薬を舐めてしまわないように、10分くらいはよく見ておきましょう。
そのため、あらかじめ獣医さんと相談しておくことをおすすめします。
ケージを分ける
一度でも喧嘩をしたら、ケージを別にすることが何よりです。
命あるうちに救い出せたなら、これからそのような事態がおこらないうちに、離して生活させましょう。
ハムスターは本能的に1匹での生活を好み、誰からも攻撃されないとはっきり分かる巣を好みます。
1匹で寂しいということはないので大丈夫です。
夜間病院に連れていく
最近はペットブームということもあり、夜中も開いている動物病院が増えてきました。
東京にはアニマルドクターカーがあり、夜でもお家に駆けつけてくれるような獣医師さんがいます。
うちの県にも、夜間専門動物病院があり、夕方から朝にかけて開いているという珍しい病院もあります。
緊急時のために、住んでいる地域に夜間病院はあるか調べておきましょう。
喧嘩しないハムスター
ハムスターは基本的に1匹につき1ケージが基本です。
しかしハムスターの性格や赤ちゃんの頃の飼育環境、種類によって同じケージで多頭飼いしても喧嘩しないハムスターがいます。
これは稀で、大人になってからもくっついて寝ているような仲の良いハムスターでも、急に豹変することがあります。
基本的に当サイトでは多頭飼いはおすすめしてなく、仲の良いハムスターでも別ケージで飼うことを推奨しています。
ドワーフハムスターである
ドワーフハムスターは、喧嘩をしなければ多頭飼いすることが可能です。
ドワーフハムスターの中でも、ジャンガリアン、キャンベル、ロボロフスキーは他の種類に比べて喧嘩しにくいです。
といっても、ハムスター同士の性格と赤ちゃんの頃一緒に育ったかが重要です。
兄弟ハムスター
同じ親から生まれた兄弟ハムスターは、匂いが似ています。
ハムスターは相手を判断するとき、もっとも匂いを判断基準とします。
匂いを嗅いで、こいつは敵だと判断したり、兄弟だ、と思ったり、飼い主であることも判断しています。
そのため、兄弟ハムスターは多頭飼いしやすく、喧嘩することも少ないです。
赤ちゃんの頃同じケージで飼われている
兄弟ハムスターであっても、赤ちゃんの頃同じケージで飼われていなかった場合、大人になってからは喧嘩してしまいます。
赤ちゃんの頃の「警戒心を抱かない」という安心感が大事で、ハムスターが本能的にそれを感じていなくてはなりません。
兄弟であっても途中から同じケージで飼ったり、同じ種類のハムスターを途中から同じケージで飼うことはリスクとなります。
基本的にしないほうがよく、少しでも喧嘩するようならハムスターはストレスが溜まっているサインです。
ゴールデンハムスターはNG
ゴールデンハムスターは他のハムスターに比べて縄張り意識が非常に強く、また闘争心も強いです。
そのため、オス同士のゴールデンハムスターを同じケージで飼うようなものなら、たちまち激しい喧嘩が起きてしまいます。
うちはゴールデンハムスターを2匹飼っていますが、一度別々の部屋でお散歩させていたとき、手違いで扉を開けてしまい、ゴールデン同士が鉢合わせしたことがあります。
そのときは、今まで聞いたことがないような規制をいつもは大人しいゴールデンが発し、たちまち大喧嘩に発展しました。
弱いハムスターは喧嘩の的になる
ハムスターは弱肉強食の生き物で、強いものが残り、弱いものがいなくなるというシステムをとっています。
これは獣医さんから聞いた話ですが、ある日1匹のメスのハムスターが重症を負って運びこまれてきたそうです。
飼い主の説明では、ジャンガリアンのメスの姉妹を3匹、同じケージで飼っていたところ、2匹が突然1匹のメスにとびかかり喧嘩になったそうです。
2匹が協力するかのように、集中的に1匹を狙い、それは驚いたそうです。
普段から仲がよく、小さなこぜりあいもしたことがなかったそうで、同じ巣箱で寝るほど仲が良かったそうです。
この喧嘩の原因は、重傷を負ったハムスターが数日前から体調不良に陥っていたことでした。
あまりエサを食べず食欲不振で、あとから診察して分かったことですが、腎臓疾患にかかっていました。
2匹のメスはその体調不良に気が付き、今なら弱ったこのメスを倒せると思ったのでしょう。
それで弱ったところを攻撃し、自分の巣の縄張りの強化をはかったのです。
どんなに仲が良いハムスターでも喧嘩する
この話から、いかにハムスターは普段は仲が良く見えても、体調不良になったりケガをしたりすると、強いハムスターがのし上がろうとする本能が目覚めるということです。
人間からすると、弱っているところに身内が叩き割るような行動、冷酷で酷いと思えます。
しかしこれがハムスターの本能であり、この生存競争により、ハムスターは世界でもっとも多い個体数をほこり、世界のトップに君臨しているのです。
今多頭飼いしている方は、別々のケージで飼うことを考えてみてください。
離すときっと寂しがるだろうから・・・と思うのは人間の考えであって、ハムスターからケージ内の同居人は、まったく別の見え方をしているんです。
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